推薦の言葉

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ジャック シェリダン Jack Sheridan より
ルイジアナ州立大学歯科矯正学講座 名誉教授

私の哲学に与えたDr.Toshi(宮井敏)の貢献は重要な意味を持ち、それは異論のないところである。Essixアプライアンスのコンセプトとテクノロジーの普及にあたって、協力者として彼の知遇を得たことは、私にはこのうえない幸運と言える。

Essixアプライアンスの臨床応用
宮井敏著 株式会社オーラルケア出版

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シェリダン教授と共に

 

シェリダン教授とのこと

筆者にとって1999年以降一時も忘れなかった、そして一生を通じて決して忘れることのできない言葉があります。

「Toshi(敏)、Essixアプライアンスの普及を前提に自由にこれを使ってくれたまえ」

シェリダン教授はそう言って、彼が所有する全スライド(データ)を筆者にくれました。このときから、日本でのEssixアプライアンスの普及が、筆者のライフワークになったのです。

シェリダン教授が、JCO誌に「永久固定の製作と管理」※1)を発表したのは、1993年のことです。この論文は、Essixアプライアンスの全容を明かすものではありませんが、そこには保定装置に対する画期的に考えが示されており、筆者は強い衝撃を受けました。というのも、大学の医局に残っていた時代に、プラスチックシートを用いて臨床使用が可能な保定装置ができないか試行錯誤を繰り返した結果、最後は消化不良のまま挫折した苦い経験があったからです。

シェリダン教授ご自身との出会いは、彼の初来日講演会が開催された1998年7月に溯ります。この講演会はオーラルケア社の協力を得て実現したわけですが、東京と大阪の両会場とも200名近い受講者がシェリダン教授の講演に最高の賛辞を寄せました。今思えば、これが日本でのEssixアプライアンス普及の前兆だったと言えるでしょう。この来日を機にして、臨床的な問題に関してのご指導は、矯正フィールドにおける一臨床家として、感激の余りあるものがありました。ありがたいことに、彼がルイジアナ州立大学の教授職を退官した今も変わりなく親交は続いています。

初来日の翌年、シェリダン教授は二度目の来日を果たします。冒頭の彼の言葉はそのときのものです。そして、「Essixアプライアンス1日実習コース」が2000年から全国各地で開催されるようになりました。今現在、34回の開催を数え、受講者の延べ人数は1,000人を越えています。

本書は、もともとこの研修会のテキストとして執筆を始めたわけですが、受講後の復習やスタッフの方への教育の目的にも活用できるとおもいます。また、本書がEssixアプライアンスとの初めての出会いとなる読者の先生にも、ご理解しやすいように写真や図解を多く取り入れました。

現在米国では、70%を越える矯正医が、何らかのかたちでEssixアプライアンスを使用していると聞いています。本書で示すように、Essixアプライアンスは、患者さんのニーズに応じて臨床での応用範囲が大変広い装置です。日本においても今後も更なる発展が続くでしょう。

本書の執筆が、日本でのEssixアプライアンスの普及に寄与することを切に願ってやみません。敬服するシェリダン教授、全世界のEssixアプライアンスを使用する臨床家、そしてその患者さんに多くの幸あれ。

2004年1月

宮井 敏

※1)Sheridan JJ,Ledoux W, MacMinn R:Essix retainers,Fabrication and    supervision for permanent retetion.J Clin Orthod ,27,1993.